アンクサ(アンチューサ)・オフィキナリスはヨーロッパ原産の多年草または二年草で、写真のような濃い藍色の小さな花が6月から10月ごろまで多数つきます。草丈は50cmほどになり、アルカネットという呼称で鑑賞用にも植えられるようです。日本には1911年ごろに移入されたことがわかっています。
この植物の若葉は食用とすることができます。また根を煎じたものはかつては血液浄化や去たん剤として用いられたほか、根皮の粉末は口紅や毛髪を染める赤色の染料として使われました。
しかし、アルカネットといわれている植物は、アンクサ・オフィキナリスばかりではないようです。この植物と形態や性質が比較的よく似ている同じムラサキ科のアルカンナ・ティンクトリア(Alkanna tinctoria L.)はアルカンナと呼ばれていますが、同時にアルカネットとも呼ばれています。アルカンナの根にもアルカンナ赤と呼ばれる赤い色素が含まれていて化粧品や食品の着色などに利用されてきました。他にもアルカンナ・オリエンタリス(Alkanna orientalis)やアンクサ・ストリゴサ(Anchusa strigosa)もアルカネットと呼ばれるとの報告があります。アルカネットという名称のもとに、いくつかのムラサキ科の植物が含まれているようです。